RESP-D免震部材の面圧検定

RESP-Dでは、各免震部材の歪みに依存した許容面圧に対して、解析により得られた面圧が許容値を超えていないかどうかをチェックできます。
RESP-Dにおける免震部材の面圧検定は、採用する振動解析モデル、軸力や変形の考え方をいくつかの組み合わせから選択できます。設定は、[計算条件]->[免震層設計条件]->[免震層設計条件1]から行えます。今回は、下図のパターン①の考え方を紹介します。

・採用するモデル-質点系振動解析モデル
・面圧検定変形-振動解析結果を用いる
・面圧検定軸力-静的解析結果を用いる

面圧検定軸力

\( N=N_{L}\pm \beta\times N_{L}\pm \gamma\times N_{E}\pm (N_{P\delta}+N_{Qh})\);
\( N \): 面圧検定用軸力
\( \beta \): 上下動係数
\( N_{L} \): 長期軸力
\( \gamma \): OTM低減係数
\( N_{E} \): 地震荷重時軸力
\( N_{P\delta} \): \( P-\delta \)による付加曲げモーメントにより生じる付加軸力
\( N_{Qh} \): \( Q-h \)による付加曲げモーメントにより生じる付加軸力

  • 上下動係数
    上下動係数は、応力解析時ではなく断面検定時に後から加算する形で考慮されます。
    [計算条件]->[免震層設計条件]->[免震層設計条件1]にて設定できます。
  • OTM低減係数
    OTM低減係数は、動的解析(質点系振動解析モデル)による最大応答転倒モーメントと静的解析による最大応答転倒モーメントの比を補正するための係数です。[計算条件]->[免震層設計条件]->[免震層設計条件1]にて設定できます。OTMによる低減を考慮しない場合は、1.0を設定します。
  • \(Q-h\)による付加曲げモーメントに生じる付加軸力
    下図のせん断力による付加曲げモーメントは、応力計算条件が関連します。剛域付きせん断ばねにより考慮あるいは後から付加応力として加算する二つの評価方法があります。

    [計算条件]->[応力計算条件]->[応力条件 2]->[免震装置のモデル化]にて、Q-hによる付加曲げモーメントを考慮する二つの方法を選択できます。
    下記、それぞれのモデル化について説明します。
  1. せん断力によって発生するモーメントを考慮する(剛域付きせん断ばね、モデル化上考慮する方法)
    免震装置を剛梁とせん断ばねを用いてモデル化します。装置のせん断力により発生するモーメントを上下節点に伝達します。この場合は、付加曲げモーメントは既に考慮していますので、付加軸力もモデル上で計算されます。
  2. せん断力によって発生するモーメントを考慮しない(後から加算する方法)
    下図のように、一般的なばね要素でモデル化するため、材端にモーメントを発生させません。
    この場合は、[計算条件]->[免震層設計条件1]->[免震層変位のクライテリア]にて「大梁付加せん断力を支承材軸力に二次応力として加算する」をチェックしていれば付加軸力が考慮されます。[免震層層間変位]で入力した値に応じてQ-hによる付加曲げモーメントを計算し、面圧検定時に後から加算します。
  • \(P-\delta\)による付加曲げモーメントに生じる付加軸力
    下図の\(P-\delta\)効果による付加曲げモーメントは、上記免震装置のモデル化によらず、常に面圧検定時に後から加算する仕様になっています。
    Q-hと同様に、「大梁付加せん断力を支承材軸力に二次応力として加算する」をチェックしていれば付加軸力が考慮されます。[免震層層間変位]で入力した値に応じて\(P-\delta\)による付加曲げモーメントを計算し、面圧検定時に後から加算します。

歪みと面圧の検討

質点系振動解析の結果による免震層最大変形に基づいて、免震部材の歪みと面圧の検討を行います。[計算条件]->[免震層設計条件]->[免震層設計条件2]にて免震部材の面圧クライテリアを設定できます。
「免震部材面圧クライテリア」で設定した限界強度比、限界ひずみ比などの数値を「解析ケースとクライテリアの指定」で選択し、解析することで検定結果に反映されます。一例として、設定した性能保証変形面圧(ケースNo.2)のクライテリアは下図のように示します。
以上、免震部材の面圧検定その1のご紹介になります。他の考え方のパターンについては、引き続き今後記事にしていきたいと思います。

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