概要
本記事では、RESP-MXを使ったパラメトリックスタディの例として、通常は正負(引張・圧縮)対称として計算されるオイルダンパーのリリーフ荷重が非対称となった場合の影響を確認します。
正負対称 正負非対称
解析モデル
建物モデルは5階建てRC基礎免震モデルとしました。
免震層は簡単のため、天然ゴム系積層ゴム+オイルダンパーとしました。
オイルダンパーは以下のような諸元で計算します。非対称の方は、20%リリーフ荷重が正側にシフトするイメージです。
(正負対称)
リリーフ荷重 : 400 kN
リリーフ時速度 : 32mm/sec
(正負非対称)
リリーフ荷重 : 正側 480 kN, 負側 320 kN
リリーフ時速度 : 32mm/sec
実際の入力画面は以下です。入力画面に表示される各パラメータを入力していけば性能が定義できます。
ダンパー以外の諸元は共通のため、共通の性能を用いています。
今回のように共通部分が多い解析モデルを複数検討する場合には、変更があったとしても共通部分は一回だけ変更すればよいため、MXは非常に強力です。
なお、地震波は観測波3波を最大速度50kine相当に基準化して用いることとしました。画面は基準化した波形で時刻歴、スペクトルを描画しています。
解析結果
固有値解析結果
固有値を以下に示します。
今回はサンプルとして作ったモデルで適切に設計されていないため、免震としては短めの周期となっています。
免震層固定
400mm歪時
計算実行
計算実行します。
複数の解析ケースがある場合、マルチスレッドを活用して並列計算すると効率よく計算できます。
減衰力-変位履歴
オイルダンパーの減衰力-変位関係を以下に示します。
リリーフ荷重がシフトしていることは確認できますが、形状は大きく変わらないこともわかります。
El Centro
Taft
Hachinohe
各層最大応答値
つづいて、各層の最大応答値を見てみます。
オイルダンパーを非対称としたことによる差異がグラフ上からも確認できます。
応答結果を表でも確認してみます。今回は全体的にElCentroで最大値が生じているようです。
対称オイルダンパー
非対称オイルダンパー
まとめ
リリーフ荷重が非対称となるオイルダンパーの応答解析を行いました。
RESP-MXであれば、今回のようなパラメトリックスタディ、結果の比較が容易に行えます。
非対称オイルダンパーは今回使ったRESP-MXのほか、RESP-D,RESP-F3Tでも解析できます。RESP-Dであれば立体振動解析が行えるため、ねじれの影響も含めて評価することもできます。