福島県沖を震源とし最大震度6強を記録した表題の地震に関して、KKEが所有する三次元免震建物(東京都杉並区阿佐ヶ谷南:下写真参照、建設当時のニュースリリース:https://www.kke.co.jp/news/pdf/2007/NewsRelease_3d.pdf)において観測記録が得られましたので報告いたします。

本三次元免震建物の躯体スケルトンは下図のようになっており、B1Fに三次元免震装置が設置されています。地震計(三成分XYZ)は、三次元免震装置(下図参照)の上下(B1F・1F)およびRFに設置されています。また、免震層のせん断変位を直接測定するための変位計も設置されています。

代表的な水平方向の観測波として、X(東西)方向の加速度観測波を上からRF・1F・B1Fの順に示します。免震階下端であるB1Fでは最大で23.33 [cm/s/s]である地震波が、免震階上端では最大で12.26 [cm/s/s]に小さくなっています。

鉛直方向の加速度観測波を、水平方向と同様に上からRF・1F・B1Fの順に示します。B1Fでは最大で8.21 [cm/s/s]である地震波が、免震階上端では最大で7.1 [cm/s/s]に小さくなっています。

観測した加速度波形をトリファナック法によって積分して絶対変位波形を求めて、平面オービット図を作成しました(下図)。免震層下端の変位は方向毎に1.0 [cm]以下ですが、上部建物の変位は最大で約1.5 [cm]になっており、免震装置が水平変形していることがわかります。

上記の変位時刻歴と、別に設置されている変位計で直接観測した変位時刻歴を比較してみました(下図)。EW方向では、加速度を積分した結果と変形の値が良く一致していますが、NS方向では基線のずれだけでなく最大変位にもズレが見られます。

観測波の周波数特性を見るために、上記加速度波形の加速度応答スペクトル(減衰定数h=5%)を作成しました(上図:水平、下図:鉛直)。なお、本建物の耐震設計モデルによる1次固有周期は、水平方向が約3.0 (s)、鉛直方向が約1.3 (s)です。
水平方向では、約1.5 (s)より短周期となる領域では大幅に加速度が低減できており、免震の効果が明確に表れていると考えられます。また、約1.5 ~4.0 (s)のピークは免震層の周期を、約0.12 (s)のピークは上部構造の1次固有周期と考えられます。

一方で、下図の鉛直方向では、入力レベルが小さ過ぎて明確な免震装置の影響は見られませんでした。
本報告は、速報ということで深い考察ができておりませんが、今後振動モデルによる検証などを加えて検討を行いたいと思います。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です