複素固有値解析実行機能

RESP-D(Ver 3.4.0.0)より複素固有値解析が実装されましたのでご紹介いたします。

目次

 

複素固有値解析とは

複素固有値解析は、速度依存項を考慮して固有値解析を実行することです。
下図のような1質点系のモデルにて考えてみますと

  • 実固有値解析の場合
\( M \ddot{x} + K x=0 \)

を解きます。

  • 複素固有値解析の場合
\( M \ddot{x} + C \dot{x} + K x=0 \)

を解きます。
実固有値解析との違いは速度依存項が含まれていることです。
本式の解は一般に複素数で表されます。本解を分析することにより、速度依存項を考慮した固有周期を求められるだけでなく、構造全体の減衰定数を求めることができます。

 

使用用途

主に制振構造などにおいて、付与した制振部材などにより、構造全体の減衰定数がどの程度、増加しているかを定量的に知るために用います。
制振部材を付与しない場合、一般的に減衰定数として、鉄筋コンクリート構造で3%、鉄骨構造で2%といった値が使用されます。これらの構造に制振部材を付与することによってその減衰定数は増加するため、制振部材を含めた減衰定数を評価することは制振構造の効果、効率を知る上で重要です。

 

使用手順

 

条件設定

質点系振動解析、立体振動解析の両方で使用することができます。

  • 質点系振動解析の場合

「上部メニュー」⇒「計算条件」⇒「質点系振動解析条件」⇒「共通条件1」に移動しますと
下図のような画面が出ますので、「複素固有値解析を実行する」にチェックを入れてください。

  • 立体振動解析の場合

「上部メニュー」⇒「計算条件」⇒「立体振動解析条件」⇒「振動解析1」に移動しますと
下図のような画面が出ますので、「複素固有値解析を実行する」にチェックを入れてください。

 

解析実行

「上部メニュー」⇒「計算・出力」⇒「計算実行」にて
下図のような画面が出ますので、「固有値解析」にチェックを入れてください。

 

結果確認

2018年10月現在、複素固有値解析結果をRESP-Dの画面から読み取る機能をご用意できておりませんので、解析結果ファイル(csvファイル)を直接ご覧ください。
(この例は立体振動解析の場合を示しています。)

  • 解析結果ファイルを開く
    RESP-Dのファイル(dzファイル)と同じディレクトリにdzファイルと同じ名前のフォルダがございます。

そのフォルダを開き、「立体振動解析」のフォルダを開く。(質点系振動解析なら「質点系振動解析」フォルダ)

複素固有値の解析結果ファイルはファイル名は以下のようになっているものです。

[dzファイル名(拡張子なし)]_Complexeigen[解析番号].eigen.csv

解析番号は通常「00」ですので、sample.dzの場合、「sample_Complexeigen00.eigen.csv」になります。

  • 解析結果ファイル

ファイルを開きますと初めに「固有周期」等が記載されていますが、これは通常の固有値結果になります。図に赤字に示しましたように「** Eigen Analysis ** 」と記されています。

ファイル末尾の方に移動し、「** Complex Eigen Analysis ** 」と出てきましたら、ここが複素固有値解析結果を表す部分になります。
現在は固有周期と減衰定数のみ出力されています。

 

適用範囲

本機能は現在、開発中の機能になりますので、本機能が考慮できる制振部材は
オイルダンパー(支持剛性あり/なし)
オイレス制振壁
のみでございます。
この他のダンパーは考慮されませんのでご注意ください。(2018年10月1日更新)

 

今回使用したソフト RESP-D


時刻歴応答解析による設計を支援する統合構造計算プログラム

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