超高層ビルにおける部材設計
超高層ビルの場合、当然部材数も多くなるため設計の手間は膨大となります。その中でもとりわけ柱部材は、許容応力度検定はもちろんのこと、終局強度に対する余裕率や軸力比、柱梁耐力比やダイアフラム検討など、抑えておかなければいけない検討が数多くあります。
一部の検討ではOKとなったものの、いざ他の検討を行うとNGとなり、部材自体を見直す必要が生じることも少なくないと思います。 RESP-Dではこういった検討や概要書作成をスムーズに行える機能として、計算書出力とは別に「ドキュメント出力」という機能を実装しています。 概要書作成をスムーズにするだけでなく、検討結果を一望できる、という点で設計を詰めていく段階でも非常に有効に活用できます。 今回はこの「ドキュメント出力」の中から、柱の検討に関する出力について取り上げます。
ドキュメント出力とは?
ドキュメント出力、という文言ではなかなか想像がつきにくいと思いますが、「計算書出力ではなく、よりカスタマイズされた自由なレポート形式の出力」という位置づけです。 出力形式はHTML形式となります。HTML形式のメリットとしてWebブラウザがあればどこでも閲覧できるだけでなく、HTMLの仕組みを知っている人であれば見た目の調整も行えるメリットがあります。また、A4サイズで印刷できるようにレイアウトされていますので簡単にPDFにすることもできます。ドキュメント出力の使い方
まずは使い方から説明します。 今回は、荷重増分解析結果を用いて出力します。 メニューから、「計算・出力」→「ドキュメント出力」を指定します。ドキュメント出力できる項目の一覧が表示されますので、今回は「増分解析による柱関連の検討集計」をチェックして出力ボタンをクリックします。 その他、たくさんの出力がありますが、追って少しずつ紹介していきたいと思います。
出力を選択すると、フォルダを指定する画面がでてきます。
フォルダを指定すると、所定のファイル名でドキュメント出力結果がhtmlファイルとして出力されます。 今回の設定の場合、「PushOverColumnTotalization.html」というファイル名でファイルが出力されます。 その他にも同一フォルダにいくつかファイルが出力されます。 これらのファイルを一式にして持ち運べば、ブラウザさえあればどこでも出力結果が確認できます。
出力は以下のような形式です。 柱頭(T)、柱脚(B)の2行で一つの柱を表しています。
左半分では、1次設計、2次設計による断面検定結果のほか、軸力比、部材ランク、柱梁耐力比が記載されます。2次設計は今回の場合、荷重増分解析結果の終局設計ステップにおける検定結果になります。
右半分では、パネルゾーンやダイアフラムの検定結果になります。今回のモデルでは、CFT柱が対象のため、CFT指針による検定になります。
結果は通りごとに階が上から順に並んでおり、また検定値も色分けされる(やや検定値に余裕がある項目は青、NGは赤)ため、全体的な設計のバランスを見るためにも重宝します。
なお、現状ではクライテリア設定はアプリケーションの既定のものとしていますが、レベル2に対して許容をクライテリアとするのか、終局をクライテリアとするのか、あるいは軸力比をどの程度にするかなど、今後はユーザーが設定できるように拡張予定です。