柱頭免震をモデル化したい
免震構造の普及に伴い、近年では基礎免震以外の免震形式の採用もよく耳にします。
その中でも比較的問い合わせの多い柱頭免震のモデル化について説明します。
【ステップ一覧】
1. 免震部材を配置する階を、柱頭の免震部と柱部で階を分割します。
2. 柱頭部を免震層指定します。
3. 階グループを分割し、免震部とその上階を単一のグループとします。
4. 免震部レベルの梁・床および免震部材配置位置の柱を削除します。
5. 柱頭側節点を剛床解除します。
6. 免震部材を配置します。
- 免震部材を配置する階を、柱頭の免震部と柱部で階を分割します。
基本事項>階の追加で免震層として階を追加することができます。
- 柱頭部を免震層指定します。
基本事項>階名称変更・免震層指定において、免震階にチェックを入れます。
3. 階グループを分割し、免震部とその上階を単一のグループとします。
基本事項>階グループの設定より、免震層を他の階のグループから外します。
※階グループの階の単位は見下げ状態で考慮されるため下記指定になります。
グループの設定
グループに属する柱・梁の範囲
- 免震部レベルの梁・床および免震部材配置位置の柱を削除します。
削除する梁・柱
削除後
5. 柱頭側節点を剛床解除します。
該当の節点を選択し、節点プロパティの剛床解除を選択します。
*層間変形角を計算するため、層間変位を採用したい節点のみ「剛床解除しない」としておく必要があります。すべての節点を剛床解除してしまうと層間変位が計算できず 0 となってしまうためです。なお、剛床解除しない節点は層の最大応答値グラフを描く際の層間変位を取得する位置となるのみですので、どこの位置を採用しても解析モデル自体には影響ありません。
柱頭節点の剛床解除
剛床解除しない点
6. 免震部材を配置します。
【ポイント】
通常の基礎免震であれば、免震階の上下大梁は設計上非常に大きな梁せいとなることが一般的です。その場合は免震部材上下の節点に大きな回転が生じませんが、柱頭免震の場合には柱頭部に大きな回転が生じる可能性があります。大きな回転が生じる場合には免震としての効果が低減されてしまい、さらには通常設計で許容される免震部材の回転角をオーバーしてしまう可能性もあります。柱頭免震における柱の設計は、P-δ効果なども適切に考慮して設計する必要があります。RESP-Dの現状の機能では、P-δモーメントを梁の設計応力に加算する機能はありますが、柱の設計応力に加算する機能はありませんので別途計算する必要があります。
なお、上記方法とは異なりますが、免震部材のP-δ効果を考慮した解析モデルとして剛棒曲げモデル(三山モデル)と呼ばれる手法を研究的に組み込んでいます。免震部材のPδ効果は線材として考慮すると剛性低下を過剰に見込むことになるため、周期が過大となり応答を危険側に低減してしまう可能性があります。三山モデルでは実験結果と合わせるようにモデル化していますので、P-δ効果による影響を適切に評価できます。このモデルを採用すると、P-δ効果による影響を時々刻々解析に反映できますので、梁・柱の設計時に改めて設計応力として加算する必要はありません。その代わり、解析時における免震部材周辺の応力は増加しますのでヒンジ発生などの確認が必要となります。ただし、参考にした文献で示されているモデルは天然ゴム系積層ゴムの実験に基づいているため、鉛プラグ挿入型積層ゴムや高減衰積層ゴムに対する適用については注意が必要です。現時点では研究的機能であるため、ご使用される際にはRESPサポートにご連絡いただければ使用方法などご説明させていただきます。