2019年度建築学会大会参加報告

表題の通り、2019年度日本建築学会大会にRESPチームメンバーが7名参加し、RESPサポートメンバーから6編の論文を投稿致しました。

 

各メンバーの発表内容は以下となります。(※ 著者はRESPチームメンバーのみ記載しています。)

「構造設計で利用される履歴モデルの等価減衰定数に関する考察」梁川幸盛

「地震時における室内空間の機能維持のための研究」正月俊行, 山根義康, 坂本陸(防災科学技術研究所共著)

「既往の曲げ降伏時剛性低下率に適合するRC部材のファイバーモデル化」鈴木壮, 角友太郎

「150N/mm2級のコンクリートを用いたRC柱の曲げ復元力特性の評価手法に対する検討」青野湧(五洋建設技術研究所共著)

「嵌合形状を持つコンクリートブロックを用いた2 階建て建物の三次元実大振動実験」山根義康(飯田グループホールディングス、建材試験センター、h+A 日比野建築計画室、大分大学共著)

今年度も含め、過去の投稿論文一覧はこちらでご確認できます。

発表でご質問・ご討議に参加していただいた皆様、どうもありがとうございました。

 

その他講演についての各メンバーの感想

各メンバーは自身の発表以外にもそれぞれ興味のあるテーマについて講演を聴講し、討議に積極的に参加してまいりました。

それぞれのメンバーの雑感をまとめます。

 

今年の大会は、主としてRC系のセッションに参加させていただきました。
個人的に印象的だったのは、近年のRC部材実験では終局耐力まで平面保持仮定が成立するような結果がいくつも出ていたことでした。
RESPで柱のモデル化として採用しているファイバーモデルは平面保持仮定が前提となっており、そのような仮定だと従来よく用いられてきた降伏時剛性低下率に対して剛性が大きくなってしまうことが一つの課題でしたが、必ずしも従来の結果が正解ではないということが確認できました。
今後はどういった場合に平面保持仮定が成立しやすいのか、あるいはしにくいのかについてもう少し知識を深めていきたいと思います。

 

 

自身の発表はファイバーモデルに関するものでしたが、同様にファイバーモデルを扱っている研究や、その他のモデルを検討している研究等、様々な発表があり、それらを参考にして更に検討を深めたいと感じました。また、海外におけるその地域特性に基づいた建物補強手法であったり、天井補強の新たな提案など、大変興味深い発表が多くあったと感じます。

 

 

RC梁のセッションで、ヒンジリロケーション工法に関する発表の数が多かったにもかかわらず、研究背景が発表者ごとに異なっていたことが印象的でした。
(エネルギー吸収能力の向上, 接合部のプレキャスト化, 設備配管を通しやすい, など...)
「RESP-Dだと、危険断面位置の直接入力機能でヒンジリロケーション工法を解析的に表現できるな」とモデル化のことを考えながら聞いていました。

 

 

今回の大会では、コンクリートブロック造住宅の振動試験について発表し、また共著者として室内被害評価に関するセッションに参加しました。被害予測に関して、比較的短期に実社会に活用することを前提とした発表や意見が多いのが印象的でした。建物の即時損傷評価に関して費用等の問題から敬遠されがちな計測機を建物に取り付けず、近くの観測地点の記録から評価するといった利用者の負担も考慮した検討も進められており参考になることが多く勉強になりました。

 

 

今年の建築学会にて優秀設計例を拝見させていただきました。
最近は小さなモジュール構造を組み合わせて大きな構造を構成する設計が広く取り組まれているように見受けられました。
小さなものを組み合わせて大きなものを作る考え方はプログラミングに近く、非常に合理的だと思いますのでRESPシリーズでも今後そのような入力が可能なUIを作成できないか検討してみたいと感じました。

 

今後も学会大会を含め、研究活動の場には積極的に参加していきたいと思っておりますので、もし見かけた際はお声がけいただけますと幸いです。

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