表題を見て、「あぁ、あれね」とわかった方は、さすがです。
私は、入力ミスがないか散々チェックした末、恥ずかしながら小一時間悩みました。
すでに答えがわかっている方は、この先は読み進めて頂く必要はないかもしれません。
経緯
以前、風洞実験による風外力時刻歴波形を用いて、各階に加振力を載荷して動的解析を行う業務がありました。
地震動が基本的には1ケースにつき1波の入力であるのに対し、風外力は各階にX,Y,ねじれの波形が存在しており入力が複雑になることから、モデルを作成したあと外力が適切に入力されているかを確認したくなりました。
そこで、検証として外力時刻歴のトータルと支点反力時刻歴が一致することを確認しておこうと考えました。
外力時刻歴より支点反力時刻歴が2倍以上上回る
まず最初に確認してみたところ、外力時刻歴より支点反力時刻歴が2倍以上大きくなりました。
これは、どこか入力が重複してるか読み込みを間違えたな、と思い、ひとつずつ入力をチェックしていきました。
が、2回ほど全箇所チェックしても間違いを見つけることができませんでした。。
なにか根本的に間違っているところがあるかと思い、試行錯誤を続けていました。
時刻歴で比較してみる
全然原因がわからなかったので、なにかヒントを得られないかと時刻歴で比較してみることにしました。
すると、やっぱり明らかに違っていることが確認できます。
もう少し拡大して分析してみよう、と思い、拡大してみると、、
ん?振動してる?
そういえばこの構造物の周期と同じような周期性があるような、、
ここまできて、ようやく、「風外力の作用により加速度が発生すれば、それに伴って慣性力が発生する」という事実に気づきました。
わかってみれば当たり前の話でした。
ですが、2倍も反力が変わるという感覚はまったくなかったので、いい勉強になりました。
以上を踏まえ、最終的には水平質量を0にしたモデルに対して風外力時刻歴を入力して、支点反力と外力時刻歴が一致することを確認して、入力が適切であることを確認できました。
まとめ
- 風応答解析を動的に行う場合、風外力時刻歴の合計と支点反力の合計は支点反力時刻歴のほうが大きくなる。それは、上部構造に加速度が発生することにより慣性力がさらに加わるためである。
- 入力の確認をするには、上部構造の質量を0としたモデルで外力時刻歴と支点反力時刻歴の合計を比較すればよい。
- 慣性力の影響は、意外と大きい。
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