概要
オイルダンパーを配置した建物の場合、オイルダンパーを含めた最大層せん断力はオイルダンパーを配置しない建物より大きくなることがある一方、実際に主架構が負担する最大層せん断力は小さくなることが考えられます。これは、最大せん断力を発揮するタイミングが主架構とオイルダンパーで位相がずれることによります。通常のオイルダンパーであれば、RESP-Dの指定により簡単に主架構の最大層せん断力を確認することができます。
ただし、シアリンク型の場合はそのままでは全層せん断力と主架構せん断力が分離できません。
これは、シアリンク型はRESP-Dでは少し特殊な方法で配置する必要があるためです。具体的には、ブレースの交点となる節点を剛床解除し、オイルダンパーは水平ブレースとして配置することになります。通常、水平ブレースは層せん断力の集計に反映されませんので、オイルダンパーのせん断力は結果的に直列で接続するブレースのせん断力として集計されることになります。そうすると、プログラムの仕様上、ブレースとして集計したせん断力は主架構のせん断力の一部とみなされるため、主架構に生じる最大せん断力を簡単に取得することができませんでした。
そこでこの度の機能追加により、指定すればシアリンクブレースのせん断力をダンパーと同様の扱いで集計することができるようにしました。
なお、シアリンク型に関する記事は以前にもいくつか紹介していますのでご参照ください。
手順
手順はGIFアニメとして示します。
ブレースのプロパティで、「速度依存ダンパーとして集計する」という指定を行うことで、このブレースのせん断力を速度依存ダンパーとして集計して主架構分と分離することができます。
GIFアニメでは、最初は特に指定しない状態の応答解析を行い、各層の全層せん断力と架構の層せん断力が同じ数値になっているのに対し、指定後の応答解析ではきちんと架構負担分の層せん断力が減少していることが確認できます。
ご活用いただけますと幸いです。